先日、お子さんが不登校の父母に向けてお話しする機会がありました。私も子育て世代ということもあり、10年前から教育費をテーマに講座を定期的に開催してきました。家庭の事情や学費のことで、希望する高校や大学をあきらめたり、選択肢を狭めたり・・・支援制度や仕組み、教育費の準備の方法など「知らない」ことが原因でそうならないように、お伝えしてきました。
~不登校の進路とおカネの悩みや不安~
◎進学への不安
「希望する高校に進学できるか?選択肢の不安」
「学力の不安」「内申点の不安」「集団生活への不安」
◎経済的な不安
通信制高校や高卒認定など多様な選択肢があるが、経済的に進学可能か?
◎子どもの心身
進学に関して、子ども自身が不登校であることの「不安」とどう向き合うか?
◎学校とのミスマッチ
子どもの個性と進学した学校環境とのミスマッチの可能性
今回お話ししていて思ったのは、不登校のお子さんの進路についても、私が教育費について話し始めた10年前と比べると支援制度や行政の対策など選択肢は確実に拡充してきていますし、進学先についても、通信制の高校も増え、それと共に学生数もものすごい勢いで増えています。通信制の高校は不登校を経験した生徒へのフォローも充実していると感じます。一般的な公立高校の普通科とは違った特色を打ち出している高校も多く、選択肢は多様化しています。
通信制とはいえ、通信(家でオンライン授業)と通学を組み合わせる学校も多く、街中にキャンパスがある学校が多いのも特徴です。偏差値で進学する高校を決めるのではなく、自分が学びたい、通いたい学校を選択する傾向は、不登校であるなしに関わらず、広がってきているのではないでしょうか。
通信制高校の学費についは、高等学校就学支援金制度を活用すると、公立高校のように、学費の負担はほとんどない高校もあれば、年間100万円を超える高校もあります。家庭の事情により学費の支払いが厳しいという印象をもたれている方もいらっしゃるかもしれませんが、以下のような国や自治体の制度も拡充しています。一部ご紹介します。家庭の事情や世帯収入、学ぶ意欲など条件もありますが、拡充しています。
~各種支援制度~
◎高等学校就学支援金制度
世帯収入が一定以下の家庭を対象に、授業料の減免と給付型(返済不要)奨学金が提供されます。
◎日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
給付型奨学金(返済不要)
貸与型奨学金(返済が必要)
◎自治体の学費支援制度
札幌市奨学金
北海道の奨学のための給付金(私立高校生等奨学給付金)
◎母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
ひとり親家庭の子どもが教育を受けるために必要な資金を借りられる制度です。
連帯保証人がいなくても利用でき、利息も少なく、一時的なキャッシュフローの不安解消に役立ちます。
◎国の教育ローン(教育一般貸付)
日本政策金融公庫 が提供する教育ローンです。
~支援制度などうまく使うには~
夢や目標を実現するためのマネーバランスの基本的な考え方は、いつも同じです。
- 将来設定
⇒高校進学、総額いくら必要?
- 現状把握
⇒家計の現状把握~
普通預金、定期預金満期、学資保険満期、資産運用、貯蓄可能額
- 問題発見
⇒〇万円足らない・・・
- 対策・実行
⇒収入↑支出↓借りる(奨学金、ローン)、制度活用
- 検証・修正
⇒家計決算(振返る)
①~⑤をコツコツ繰り返すことで、確実に準備していきたいですね。選択肢は多い方が可能性は高くなります。「知らない」ことで機会を失うことがないように、学びと実践を継続していきたいですね。
~まとめ~
◎高校、大学、専門学校への進学には学費が発生します。進路によって、学費もさまざまです。
◎家庭の事情や所得に応じて、支援制度や対策が準備されています。実際やれることは沢山あります。
◎お金を理由に進路を諦めたり、条件を絞る前に、希望の進路に進むためにいろいろシュミレーションしてみましょう!
◎親子で一緒に考えることは、最高の金銭教育にもなり財産になります。