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おばあちゃんから学んだ「しあわせのあり方」

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PTAで会長にご推薦いただいて、早3年。会長就任と同じタイミングで入学した子ども達も卒業です。卒業式で来賓祝辞を述べるにあたり、ふっと思った「しあわせのあり方」。私のおばあちゃんから感じ学んだことを卒業生に送りました(^^)

来賓祝辞

三年間の楽しい思い出、そして時には悩みや不安を経験しながら、きょうの卒業式を迎えた皆さん、ほんとうにおめでとうございます。 また、お子様が九年間の義務教育を終えご卒業される家族の皆様に心よりお祝い申し上げます。

そして三年間、子供たちの成長を温かく見守りご指導いただきました校長先生をはじめ、諸先生方並びに職員の皆様方、心より厚く御礼申し上げます。

本日、祝辞を述べるにあたり、先月95歳で天国へ旅立った私のおばあちゃんの話をしたいと思います。

おばあちゃんは19歳でお見合い結婚して、それからは早朝から乳牛の世話、昼は田んぼや畑で野菜づくり夜はまた牛の世話・・・休む暇なく子どもを3人育ててあげました。時代が違うとはいえ、私から見れば本当にしあわせだったの?という思いが頭をかすめました。休みをとってのんびり旅行もできないし、自分の時間もない・・・

そんなおばあちゃんは文句も愚痴も言わず、いつもにこにこして「私はしあわせ、ありがたい。ほんとうにありがとう」何度も言うのが口癖でした。最近は近所のおばあちゃんと世間話をする時間をとても楽しみに毎日過ごしていました。

自分で歩いて散歩できる足がある。おしゃべりできる近所の友達がいる。毎週様子を見に来てくれる娘がいる。面倒見てくれる息子夫婦が一緒に住んでくれている。食べるご飯がある。自分で料理して食べることができる。5人の孫と6人のひ孫に会う楽しみがある。そう言っていたそうです。

私はそこで「はっ」としました。時間がない、好きなことできない、欲しいものが買えない・・・「ないもの」ばかり考えている私と違って、おばあちゃんは今「ある」もの「受け取っているもの」を感じて、心から感謝していました。ああほんとうにしあわせだったのだなあと感じました。

みなさんも考えてみてください。今日、卒業を迎えることができたみなさんに「あるもの」「受け取っているもの」を。今日まで家族が自分にしてくれたこと、一緒に授業を受け、部活動に励んだ友達が自分にしてくれたこと、先生が教えてくれたこと。毎日ご飯を食べて命があること。それは野菜やお肉を育ててくれる人、運んでくれる人、お店で売ってくれる人がいたからだということ。

みなさんの中にも既に「あるもの」があります。友達の悩みを聴いてあげるやさしさ。周りが明るくなる笑顔。速く走ることができる足。ピアノや絵を描くことが上手なこと。誰より大盛のご飯を食べる胃袋。突拍子もないアイデアが浮かぶ脳みそ。夢中になれるもの。

みんな「あるもの」は違いますが、受け取って既にみなさんの中にあります。ないものを手に入れることもいいですが、「あるもの」を大切に育ててみてください。なぜ「あるもの」がみんな違うのでしょうか?そこには深い意味があって、自分も含めて、みんなが幸せになる鍵がそこにあるのではないかと感じています。

最後になりますが、家族や友人、先生や地域の人たちは、これまでと同じように、これから先もみなさんを応援しています。卒業生のみなさんが、受け取って今「あるもの」に感謝しながら、同時に周りの人に与えられてもいるという将来の姿を想像しつつお祝いの言葉とさせていただきます。

 

令和三年三月十四日

○○中学校父母と先生の会

会長 矢野智章

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