還付金詐欺、架空請求詐欺といった特殊詐欺からSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺まで、金融詐欺や闇バイト、消費者トラブルについて新聞やテレビで見たり聴いたりしない日はありません。2021年に東京都が行った調査によると10~20代の若者の3割強が消費者トラブルに遭遇していたという報告もあります。被害者ですめばいいのですが、自覚がないまま金融詐欺の加害者になっているケースもあるようです。
自分と家族を守るために出来ることは「知ること」ではないでしょうか?先日、中学校のPTA主催の「講座」でお金の危機管理講座と題して、お話しをする機会をいただきました。
毎日のように新聞やニュースで耳にする「闇バイト」や、特殊詐欺や消費者トラブルの事例などをお伝えしてきました。パターンを知り、被害者や加害者になる以前に気が付く、例え遭遇したとしても深みに嵌る前に気が付くことができる。そして万が一トラブルに遭ってしまったときに誰にどう相談し解決するか?対処方法についてもお伝えしました。
このお金の危機管理講座は3年前からご要望いただき開催しています。毎回、内容を見直し、その時その時のタイムリーな情報を確認し、内容をブラッシュアップしていますが、手口は巧妙化し、新たな金融詐欺や闇バイトの誘いの方法が登場しています。一部講座で取り上げた内容をご紹介しますので、少しでも金融詐欺や闇バイトの被害防止のお役にたてれば幸いです。
闇バイトや金融詐欺の先には・・・
今回は、親子で参加されている方が多く、高校生、中学生も参加いただきました。特殊詐欺や消費者トラブルで、まだ「被害」に会うだけだったら、よくはないけれど、知らないうちに闇バイトを通じて「加害者」となるケースを紹介しました。闇バイトや金融詐欺の先には何があるのでしょうか?例えば・・・
被害者Aさん:
- オレオレ詐欺で、息子を助けようと3000万円だまし取られる。家族から責められ、周囲から孤立する。
- 自ら命を絶つケース、更に悲しいことに遺族が責任を感じ後追い自殺したケースもあるようです。
加害者B君(闇バイト):オレオレ詐欺の受け子となり逮捕。
- 逮捕、2年の実刑
- 大学を退学処分
- 就職が決まっていた会社から内定取り消し
このように、金融詐欺や闇バイトが行きつく先は、悲しい現実です。それを知ることで、注意したり、気づいたりといった意識の変化につながり、予防になるのではないかと思います。他人事で終わらせないことが大切ですね。
事例 ~知らない間に特殊詐欺の受け子に~
知らない間に特殊詐欺の受け子になっていたというケースをご紹介します。
- Aくん(大学生)はツイッターで、お金が当たるという企画に応募して、2万円「当選」しました。
- お金を振り込んでもらうために、口座番号を教えました。
- その後、口座には200万円が振り込まれ、間違って振り込んだといって返金を求められました。
- Aくん(大学生)は現金200万円を持って待ち合わせ場所に行き、返金したところ、お礼として10万円を受け取りました。
- その後、Aくんは振り込め詐欺の「受け子」の容疑で逮捕されたとのことです。Aくんは否認しています。
銀行口座を教える。結果自分の銀行口座が特殊詐欺の振込口座に悪用されてしまったケースです。Aくんは否認しますが、犯罪であることの認識があったかなかったかは立証が難しく、結果は厳しいものになるようです。
身に覚えのないお金を引き出して渡した時点で犯罪となってしまいます。銀行には「組み戻し」という仕組みもあり、振り込まれたお金を振り込まれた先に返す手続きをとることができます。引き出して渡す行為はまずおかしい!そう気づいて欲しいですね。
自分の危機管理に対する認識をチェック!
講座の中で、静岡大学教育学部 塩田研究室様が静岡県警人身安全少年課様の監修のもの作成された「闇バイトから身を守ろう」の教材を使わせていただきました。
https://shiotashingo.main.jp/?p=1501
「誰に、なぜ?、何を言われたか?」自分が言われたことを、言うことをきいてしまうのか?自己認識を確認できます。例えば・・・
- 部活の先輩に、ある人が困っているから助けて欲しい。荷物を受け取るだけでいいから・・・
- あこがれの人に、私もやったことがあるから、荷物を運んで欲しい・・・
- SNSで知り合った人に、10万円貰えるから、あなたの銀行口座を貸して欲しい・・・
- 友達の知り合いに、絶対安全だから、あなたのSNSアカウントを貸して欲しい・・・
どうしますか?やりますか?この行動が何を意味しているのでしょうか?ケースバイケースで判断できる力を身に付けたいですね。経験や知識がまだ乏しい若者が陥るケースが多いようですが、最近は年齢も幅広くなっており、誰もが可能性はあります。
どうしたらいいの?
では、未然に防げたらいいのですが、途中で気づいた場合どうしらよいのでしょうか?住所や身分を闇バイトの犯罪グループに伝えてしまい、家族に知られるのをおそれ相談できないケースもあるようです。そんな時は、このまま最後まで進んでいくとどうなるか?知ることが鍵です。そうなる前に相談することが重要です。
- 家族に相談
- 先生に相談
- 警察相談専用窓口 #9110
- 消費者ホットライン 188
- 未公開株通報専用窓口 0120-344-999
危機管理は、自分や家族がしあわせに生きていくための備えとして、大切です。家庭の危機管理は、病気やケガ、災害や事故、特殊詐欺や闇バイトなど、生活の中に潜む「リスク」を知り、備えることでより日々の暮らしをゆたかなものにしていきたいですね。