人生、変化は必然!?
自分のライフプランを作るとよくわかるのですが、ライフプラン通りに物事が進むこともあれば、進まないこともあります。自分は変わらなくても、今回のようなコロナウイルスの感染拡大の影響で生活を変えざるを得ないこともあります。こんな時こそ変えるチャンスであり、もう一度ライフプランに向き合い考える絶好の機会でもあると思うのです。
ちなみに私は、15年前の30歳の時に初めてライフプランを作りましたが、今はそのライフプランとは全く違ったライフプランを生きています(笑)その時はとても想像しえなかった立ち位置に今立っています。時間やお金の使い方によって、知識や経験、知恵や技術、人とのつながりなど、金融資産に加えてお金に換算できない資産も増えていきます。そう考えると同じではおかしい・・・変化は必然なのかもしれませんね。
禅的 よく生きる方法「十牛図」
人は昔から「より良く生きたい」と考えて、その方法を模索してきたのだと思います。哲学や宗教的な観念に反映されていますし、風習や伝承、祖父や祖母からの教えにも垣間見ることができます。
先日、たまたま手に取った本に書かれてあった禅の入門書「十牛図」も「より良く生きる」方法の一つなんじゃないかと思います。私はとても面白いと思ったので、「知らなかった!」「知りたい!」という方は是非読んでみてください。
「十牛図」とは?
「十牛図」とは、逃げ出した牛を探し求める牧人の様子を、段階的に描いた十枚の絵です。十枚の絵には詩が添えられています。「牛」は「ほんとうの自分」の象徴で、牛を探し求める牧人は「真の自己を究明する自分」をたとえたものです。「十牛図」は、ほんとうの自分を探しに旅に出る若者の物語です。「自分とは何か」を探し求める旅の物語絵は、禅の悟りにいたる道筋を表しています。
第一図:牛を尋ね探す「尋牛」
ある日、牛の一頭が逃げ出したため、牧人は牛を探すために山や川に一人で捜索に出かけます。ほんとうの自分(=牛に例えて)を求めて旅立つことがテーマです。
第二図:牛の足跡を見つける「見跡」
牛は見つからないとあきらめかけたとき、牧人は牛の足跡を見つけます。牛の足跡とは、釈迦の教えである自らを灯明とせよ(自分を拠りどころとせよ)」を表していると解釈されます。牛の足跡は、ほんとうの自分はどこにいるのかが表れかけていることを示しています。
第三図:牛を見つける「見牛」
牛の後ろ姿を牧人が発見します。ついにあるべき自分を発見しました。
第四図:牛を捕まえる「得牛」
牧人は綱をつけて牛を捕らえました。逃げ出そうと暴れる牛と格闘が始まります。この場面は、心の汚れや迷いを取り除くための修行の過程を示しています。
第五図:牛を飼いならす「牧牛」
牧人は暴れる牛を綱と鞭でてなずけました。牛はおとなしくなり、牧人になついているように見えます。しかし綱をつけたままであるのは何故でしょうか。本当の自分とうまくつきあうには、まだコントロールが完璧にはできないようです。
第六図:牛に乗って家に帰る「騎牛帰家」
牧人はおとなしくなった牛に乗り、楽しげに横笛を吹きながら家路につきます。真の自己と自分自身が一体となることができたのです。真の自己は堂々と落ち着き払っています。
第七図:あるがままに生きる「忘牛存人」
牧人はとうとう家に帰り着きました。牛を小屋に入れて庭でくつろいでいます。牛が消えたことで、最後に残った煩悩やエゴがなくなるという境地を表しています。
第八図:空白となる「人牛倶忘」
誰もいなくなり、あるのは空白だけです。真の自分さえも消え去り、ゼロになったのです。
第九図:本源に還る「返本還源」
空の世界に自然が戻りました。牧人に根本的な変革が起こり、本源にたどり着いたことを表しています。牧人(人間)の本源とは、自然のように清浄で美しいということです。
第十図:人の世に生きる「入鄽垂手」
町の中に入った牧人は、笑みを浮かべて何かを童子に与えています。童子は迷える人を表しており、牧人は迷える人(他者)を救う人になったのです。
マネーバランス的に十牛図を読み解くと・・・
家計の継続相談を希望される方の理由はさまざまです。「将来の漠然とした不安があるがどうすれば良いかわからない」「毎月の家計のやりくりを上手にしたい」「お金を貯めたい」「将来の教育費や老後資金をしっかり準備したい」「お金がないことを理由にやりたいことを諦めたくない」などなど・・・私もそうですが、最初から生き方が定まっている人なんてなかなかいませんよね~。
まずは、自分が心地よく、ゆたかに生きる「生き方」を「探す」、そのために自分の悩みを解決する方法を「探す」ことから、まず始めてみる。「ライフプラン」を作りより良く生きるためにライフプランの実現のために日々の家計管理や資産管理、万が一の時のリスク管理などコツコツ行動することです。「探す」と十牛図のように「牛」の足跡や姿が見えてくる・・・
(出典:Wikimedia Commons User:MichaelMaggs)
最後の第十図に達するまでには、自分の生き方を見つけたり、ライフプラン通りに事が進むこともありますし、そうでないときもあります。見つけたと思っていても実は違っていて新たな展開がみられることもあると思います。探し求めている牛、ライフプランがあるから変化にも気づけるし、修正も可能になります。その積み重ねによって、経験や知識、知恵が身に付いて最終的に、第十図に向かっていけるのでしょう。
(出典:Wikimedia Commons User:MichaelMaggs)
最後の第十図は、「人の世に生きる」とあります。牧人は迷える人(他者)を救う人になりました。最初は自分の「牛」を探すことから始まりますが、最終的には、自分の子ども、孫、広く社会のために経験や知識、知恵を使える人になりたいものです。
禅の教えでも、10段階・・・ゆたかでゆとりある生活のために1段階づつコツコツ楽しく毎日を過ごしながらステップアップしていきたいですね。そうするとその段階、その段階でまた見える景色が変わって新しい展開が生まれてくる。そんな楽しみも味わいながらマネーバランス的十牛図を実践していきたいですね~!!